在留資格認定証明書はどんなときに必要となるのか?

在留資格認定証明書とは、採用された外国人が日本に入国するにあたり、企業で働くことが前提となる場合には、短期滞在とは異なるためパスポート以外に日本の在留資格がきちんと法務大臣に認められていることを証明する書類書を提出することで入国審査手続の簡易・迅速化と効率化を図ることが可能となります。この証明書が在留資格認定証明書となります。

在留資格認定証明書の交付申請時に提出する書類

一般的に企業が外国人を採用するにあたって在留資格認定証明書を交付申請、在留資格変更申請する際には出入国管理庁の地方出入国在留管理局に書類を提出する必要があります。

申請内容により書類の内容は異なりますが一般的には以下の書類が必要となります。

  1. 在留資格認定証明書交付申請書
  2. 写真(縦4cm×横3㎝)を1枚
  3. 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記し、簡易書留配送用の切手(404円:2022/10月現在)を貼付)
  4. 招聘機関(企業等)の概要や会社案内と登記簿、直近の決算書の写し(損益計算書、貸借対照表など)。法定調書合計表。新規事業の場合は事業計画書。
  5. 申請人(採用される外国人)の学歴及び職歴その他の経歴を証明する文書。申請人の履歴書に加え、大学の卒業証明書か在職証明書。
  6. 申請人(採用される外国人)の雇用契約書等の採用書類や契約書(派遣契約、業務委託契約)と、その機関(企業等)の概要が明らかになるような資料も提出しなければなりません。
  7. フィリピン,ベトナム,中国,インドネシア,ネパール及びミャンマーの国籍を有し,中長期在留者として来日する方については,準備が整った段階で,在留資格認定証明書交付申請の際に本国の日本国政府が指定する医療機関が発行する結核非発病証明書を提出していただき,入国前の結核スクリーニングを実施する予定。

在留資格認定証明書交付申請 関連リンク先

出入国在留管理庁 在留資格認定証明書交付申請: https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html

在留資格認定証明書交付申請で提出の雇用契約書と記載内容の注意点

出入国管理庁に提出する雇用契約書の内容でチェックされるのは特に、職務内容、勤務期間、職務上の地位、賃金についてです。

この中で最も重要な書類は「雇用契約書」があります。

「雇用契約書」では、労働条件の明示を外国人労働者にも行わなくてはなりません。労働条件の明示は、労働基準法15条と規則5条1項に書かれている内容を包括して文書化する必要があります。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所および従事すべき業務に関する事項
  3. 始業および終業の時刻、所定労働時間を越える労働の有無、休憩時間・休日・休暇
  4. 賃金(退職手当等を除く)の決定。計算および支払いの方法。賃金の締め切りおよび支払いの時期ならびに昇給に関する事項
  5. 退職(解雇の事由も含む)に関する事項

注意すべき点は、賃金水準、雇用内容などです。外国人の賃金が日本人の同じ職種に比べて不当に低い場合には雇用契約として認められません(労働基準法違反となるので在留資格認定証明書の許可が受けられません)。以前よくあったケースでは現地での平均賃金ベースでの給与金額を提示するというようなことがありましたが、この場合には間違えなく認められることはありません。さらに、雇用契約書には出入国在留管理局から在留資格の許可が出た日以降が就業の開始日と明記する必要があります。また、不許可になった場合には雇用できない旨を伝えます。

また、採用する外国人が学生ならば、専攻してきた内容と職務内容に関連性が十分にあることが必要です。

その上で任意で作成した採用理由書を添付し、「なぜその外国人が自社にとって必要なのか」を説明するとよいでしょう。

雇用契約という形ではなく請負契約や業務委託契約という形でも認められるケースはあります。その場合でも月額20万円を越える報酬が明示されていることがポイントです。

なお、これらの書類については出入国管理庁への申請時に不備があったりすると、外国人の入国(上陸許可)が遅れて就労時期に間に合わなかったり、最悪の場合就業できない等のトラブルが発生する可能性があるので注意が必要です。提出書類内容に不安がある場合にはやはり専門としている行政書士に確認をしてもらう方が良いと考えます。

一つの事例として、次の章で、外国人エンジニア採用実務の注意点を示します。