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外国人を雇用するための実務

 外国人を雇用する機会は、今後さまざまな産業で必要性を増すことでしょう。
 ただし、日本人の採用とは根本的に違うルールがありますので、その概要を企業の実務担当者が把握することが必要です。2012年7月9日からは在留カードの導入がスタートし、長期滞在の外国人のデータは入国管理局が統合的に管理しています。
 ここでは実際に外国人を雇用する場合に必要となる「就労可能な在留資格」の基礎知識を解説します。
 2012年7月9日以降は改正入国管理法で「在留カード(Residence Card)」が「在留資格」を証明するものとなり、このカードの情報を正しく理解することが基本となります。日本いおける外国人雇用と在留カードは密接な関係があります。

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在留資格に関する基礎知識

 「在留資格」は、外国人が合法的に日本に上陸し滞在し、活動することのできる範囲を示したもので、現在33種類が入管法にて定められています。これらは一般的にビザという名称で呼ばれています。そのビザの証明書となるのが「在留カード(Residence Card)」で、企業に就職を希望する外国人のビザの場合、「在留カード(Residence Card)」が発行されていることが前提となります。
 詳細については後述しますが、例えば留学生や就学生(専門学校生等)は在留資格33種類のうちの「留学の在留資格」、一般的な会社の場合には在留資格33種類のうちの「技術の在留資格や人文知識の在留資格」の許可を受ける必要があります。  基本的に、日本に住んで働いている外国人(短期滞在での就労は不可)は何らかの在留資格を取得しているはずです(在留資格を持っていないで働いている場合には不法就労となります)。「家族滞在の在留資格」しか持っていない人をフルタイム(規定では28時間)で働かせた場合も不法就労とみなされますので注意が必要です。
 2012年7月9日以降は、「在留カード(Residence Card)」に資格外活動の許可の有無が記載されていますので、学生や家族滞在の外国人の雇用の際には必ず確認するようにしてください。
 海外から採用し日本で働く場合には、採用される企業の職務内容に適合しているかを確認するため在留資格認定証明書を事前に申請し、許可を得る必要があります。
 企業が日本国内に在留している外国人を採用する場合であっても、企業の業務内容が外国人の持っている在留資格と合っていない内容で就業すると、その外国人は不法滞在、企業は不法就労助長罪となります。例えば「ITエンジニア」などの「技術の在留資格」者が「コック」としてフルタイム働くようなことはできません。
 そのため、企業は3ヶ月を越えて日本に滞在することになる外国人を採用する場合には、「在留資格について正しい知識を持つ」ことが重要となります。

 企業が外国人を採用し日本で在留期間中に行なおうとする就業活動に見合う在留資格許可を受けることがポイントになります。
 2012年5月7日からは高度人材ポイント制が開始され、該当する外国人で合計70点以上になることが各種証明書類をそろえて証明できれば、在留資格認定証明書で、外国人社員を招聘することが可能です。高度人材と認められると、「高度専門職第1号」として5年間の在留期間が認められ、その後永住権の取得も可能になります。また、無期限に日本に滞在できる「高度専門職第2号」という在留資格も取得できます。


 「ビザ」と「在留資格」が同義語のように使われていますが、厳密には違うものです。「ビザ」は、来日を希望する外国人が、自国にある日本の大使館や領事館で、日本への入国に問題なしと考えられるときにパスポートへ押される印(査証)のことです。パスポートの有効性の確認と、入国させても問題なしという妥当性の意味を持つ推薦印の位置づけです。「ビザ」は、あくまでも日本に入国するためのものです。
 これに対し、「在留資格」は、日本で活動するために必要となる資格です。それを証明し、外国人に携帯を義務づけたものが「在留カード(Residence Card)」です。「在留カード(Residence Card)」は入国管理局から発行されます。
 「在留資格」は、現在33種類あります。33種類のうち「短期滞在」は、簡単に取得できますが、あとの32種類は、入国管理局に出向いて厳正な手続きを経ないと取得することができません。なお、「3ヶ月未満の滞在および短期滞在」の場合には「在留カード(Residence Card)」は発行されません。
 適切な「在留資格」がなければ、学校に通うことも出来ませんし、就業することも不可能になります。また、基本的に「在留カード(Residence Card)」の所持を法律上もとめられていない「短期滞在」の外国人は日本で働くことは禁止されています。
 2015年4月1日からは、起業を目指す外国人を対象として、4ヶ月の「経営・管理」という在留資格が与えられるようになりました。これにより銀行口座や会社設立の実務ができるようになりました。
 外国人に在留資格の意味を説明する際は、「VISA STATUS(ビザ・ステイタス)」という表現を使うと理解されやすいです。

  参照:入国管理局在留資格一覧

 日本に在留する外国人は、入国の際に与えられた在留資格の範囲内で、定められた在留期間に限って在留活動が認められるというのが国の方針です。在留資格があるということは、外交官、短期滞在を除き在留カード保有者となります。つまり、在留資格を持っているからといって、どのような仕事も自由にできるわけではなく、在留カードに明記されている活動の内容の範囲に該当した場合日本に滞在できるということです。

在留資格制度の特徴

 在留資格制度は、外国人にとっては、自分の入国目的からみて入国が許可されるかどうかの判断ができ、入国後についてはどのような範囲内であれば活動が許されるかの判断の基準となります。企業の実務担当者にとっても、その人材の採用が可能かどうかの重要な判断の指標といえるでしょう。なお、就労系のビザのほかに身分系のビザである「日本人の配偶者等」や「定住者」については、あらゆる業種で雇用することが可能です。
 2012年7月9日以降は入国管理局が発行する「在留カード(Residence Card)」が、外国人採用の可否を判断する重要な証明書となり、就労可能かどうかを判断するビザ情報カードの役割を果たすこととなりました。

在留カード(Residence Card)のイメージ画像

在留カードには個人の基本情報以外に就労制限の有無が記載されています。

 外国人を採用し、雇用した企業の人事担当者は、必ず在留カードの番号を管理し、その期限をも含めて管理する必要があります。
 企業にとってメリットの大きいのは、新しくスタートした高度人材に対するポイント制による優遇制度です。この制度に該当する70点以上の外国人社員が現在自社で働いている場合には変更申請をして、特定活動ビザを取得することができます。2013年末に制度が改正され、70点に到達しやすくなりました。高度人材ポイント制度についてはこちらをクリックしてください。

在留資格と企業

 高度人材に該当する人の資格として2015年4月1日から「高度専門職」の在留資格がスタートしました。
 企業の採用活動の中で、関連のある在留資格としては、「高度専門職、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、研究、技能」があります。また、企業の経営に参画するということになれば、経営・管理という名称の在留資格があります。
 

  • 高度専門職
  • 高度専門職は日本国政府が一番力を入れているビザで、高度人材の内容を
    イ:高度学術研究活動
    ロ:高度専門、技術活動
    ハ:高度経営、管理活動
    の3つに分類し、それぞれの特性に応じて「学歴」、「職歴」、「年収」などのポイントが与えられ70点を超えた人材のみが取得できます。
     
  • 経営・管理
  • 日本において貿易その他の事業の経営を開始するケースや、管理業務を行なう時の在留資格です。投資額が500万円以上あり、その投資が継続していることが必要です。また、日本に事務所が確保されていることも要件になっています。また、日本人が経営している会社に500万円以上の投資を行うケースでも認められることもあります。外資系で企業規模の大きい所では部門長クラスでも「投資・経営」の在留資格が与えられます。2015年4月からは、日本人のみの投資でも、外国人を管理者として使えるようになりました。ただし、管理業務については過去に他社においてそれなりの実績と経験がないと在留資格の許可は下りません。
     
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 日本の企業で、化学、電機、IT、理学や工学など自然科学の知識を活かし、従事する活動をいいます。
    法律、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務を企業内で行なうためのものです。通訳や広報の業務も含まれます。
    (以前は「技術」という単独の分類がありましたが、2015年4月から技術・人文知識・国際業務と名称が変わりました)  
  • 企業内転勤
  • 日本の本店、支店・子会社・その他の事業所の職員が、日本国内の事業所に機関を定めて転勤してくる際に必要となる資格です。本店と子会社の場合には資本関係の証明も求められます。基本的には資本比率50%以上か、株主総会をコントロールできる資本関係が求められます。
     
  • 技能
  • 企業にて行なう産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動が該当します。実際、90%以上は外食産業(コック)となっています。
     
  • 研究
  • 企業活動の発展に寄与するような研究に従事する研究者が該当します。
     
  • ワーキングホリデーについて(特定活動)
  • 日本にはワーキングホリデー制度を使って入国できる国の若者がいます。現在、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、デンマーク、台湾、香港、ノルウェー、ポルトガル、ポーランドとの間で実施されています。
     日本はこれらの国の若者が、日本の地域の文化や一般的な生活様式を理解する機会を提供するため、日本で一定期間の休暇を過ごす活動とその間の旅行資金を補うための就労を認めています。ワーキングホリデーの該当者の在留資格は、「特定活動」となり、このケースでは企業が雇用しても問題はありません。

    企業活動と在留資格の関連

     2009年10月より企業のカテゴリー制度が導入されました。

    カテゴリー1 日本の証券取引所に上場している企業
    カテゴリー2 前年度職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表により1500万円以上の納付が証明された企業
    カテゴリー3 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された企業
    カテゴリー4 新規設立などカテゴリー1~3のいずれにも該当しない企業

     とくに、カテゴリー4の新規設立の企業では、事業計画や事業の説明を詳しく行う必要がありますので、行政書士佐藤正巳までご相談ください。

    ビザ・ビザのお問い合わせ先

      法務省出入国管理及び難民認定法関係手続きのホームページ「日本での活動内容に応じた資料(在留資格認定証明書交付申請)」内にカテゴリー1~4の内容が記載されているのでそちらもご確認ください。
     実際入管法には、33種類の在留資格が定められていますが、企業の採用活動との関連性からは、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「芸術」、「技能」、「研究」、「経営・管理」などの在留資格が該当するケースが多いのが実情です。
     また、職種によっては、「特定活動」、「技能実習」といったケースもあります。また、活動に制限のない「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、定住者については、長期的戦力として企業活動に関係するケースもあります。